Et quelle énigme un lieu, quand ainsi les choses
Sont presque l’évidence bien que la mort!
On croirait qu’il y a de l’être, tant la lumière
Peut diminuer sans cesser d’être vive.
Yves Bonnefoy « La nuit d’été » Ⅲ
一眼レフで
はじめて夜景を撮ったのは
たしか
岡山のホテルの高層階の部屋から
すばらしい夜景でなど
まったくない
のは
わかっていたが
街灯のあかりの落ちる道路や
街路樹の葉の奥の翳と
輝く葉の
外側の織りなす彩は
それなり
美しかった
おなじ年
ミラノのホテルからも
眠るすこし前
日本と違う
オレンジ色の街灯に染まった
路面電車の
停まっている夜景を
撮った
その景色にしたところで
ミラノで最高の夜景でないことは
よく
わかっていた
ましてや
ヨーロッパで最高の夜景でも
世界で最高の夜景でもないことは
よく
わかっていた
せっかく夜景を撮りながら
なんという制約
なんという欠落
人生
とよぶ人もある
今日までの
長い長い
しかたなしの道草は
この制約と
欠落を
超えるためだけに
あったのか
そうかもしれない
そうでないかもしれない
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