大空の斬首ののちの静もりか没ちし日輪がのこすむらさき
春日井 建
トイレのドアを開けたまゝ
トイレの便器に座って
トイレの天井から壁を隔てて廊下の天井までを一望すると
白
グレー
もっと濃いグレー
もっともっと濃いグレー
もっともっともっと濃いが黒にはならないグレー
が入り組んで花開いていて
わが家にはトイレの天井画伯がいたのか!
わが家には廊下の天井画伯がいたのか!
わが家にはトイレと廊下のあいだの天井に近いところの壁画伯がい たのか!
と驚嘆してしまい
しばらく便器に座り続けて
大空が
白
グレー
もっと濃いグレー
もっともっと濃いグレー
もっともっともっと濃いが黒にはならないグレー
でなどまったくない
オレンジ色
茜色
紫色
紺色
濃紺色
群青色
などなどなどなどに
大きく染まりはじめる
いわゆる
端的に言って
要するに
率直なところ
すなわち
夕暮れを迎える頃に入っていったのであった
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