2018年12月2日日曜日

東京ってこういうところです


小さなエレベーターに乗ったら
高校生の女の子も後から乗り込んできて
小さなエレベーターでならお決まりのごとくに
なんとなく気まずい感じで黙りこくり
はやく目標階に着かないかなぁと
階数表示が変わっていくのを
まるで
眠くてたまらない時の授業の黒板に
数学の先生が
どんどん
書き並べていく数字のように
じーっと
見つめ続けていたら
ブッ
というより
ビッ
聞き違いようもない
あの音
して
それはどうしようもない明証性をもって
女の子から
発せられたものだったので
あっ
やったな
とは思ったが
きみ
やったでしょ?
とは
もちろん
聞くわけにはいかない性質のことでもあるので
あいかわらず
黙っていたけれど
それに味をしめたからなのか
それをいいことにというべきなのか
よっぽど溜まっていたからなのか
しばらくして
ビッ
ビッ
ビーッ
と連発して
もう       
もう
あまりにも歴然と
堂々と
高校生の女の子はやらかしたのだった

東京って
こういうところです



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