2018年12月2日日曜日

暮れがたの森の薄やみのなかを歩いて

 

(深みをめざす時のことばが
(どれほど読みづらい
(自己陶酔いっぽうのものになってしまうか……

(金魚すくいのポイのような
(ぺらぺらの
(すぐ
(悦ばしく
(破れてしまう
(ことばを
(こそ
(宙から
(どう手に入れるか……

わたしはきょうも暮れがたの森の薄やみのなかを歩いて来て
木々の音
葉々の音
夜にそなえる鳥たちの声
なおもなにかを啄む音
離れたところを行く人の枯葉を踏む音
もっと遠くで鳴る車の音を
映画のなかでする音のように
わざとらしくさえある
特別な効果音のようなものとして
聞いていた

暮れがたの薄やみはなかなか分厚くて
ああ
闇というのはやっぱり
温かいものだった
たしかめ直していた

街に戻ると
楽しい
暮れがたは
楽しい

会うべき人もないのに
するべきこともないのに
信号の
青や
赤のあかり
自動車のライトの
つよさ
折れ
曲がり行き
ボディを流れ続けるひかりたち

どれもうつくしく
映画のなかでみる色やひかりのように
わざとらしくさえある
特別なもののようで

街に戻ると
楽しい
暮れがたは
楽しい

暮れがたの森の薄やみのなかを歩いて
帰ってくると



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