2019年8月24日土曜日

空気や雲にうっすら秋が滲み染まってきている




まだ暑いといっても
もう
残暑の暑さ

夏が終わって
空気や雲にうっすら秋が滲み染まってくると
むかしのこの時期が
つぎつぎと
思い出されてくる

どれも今のことのようで
ありありと
色も
かたちも
ひとの口から洩れることばも
目の前にあり
耳元にある

小さかった頃
大人たちも
もっと老いたひとたちも
むかしのことなど
すっかり忘れてしまっていて
なんにも覚えていないのだろうと
よく思ったが

じぶんが歳を重ねてきて
驚かされるのは
子どもの頃から最近までのことが
こんなに
失われないまゝある
ということ

どれも今のことのように
ありありと
色も
かたちも
ひとの口から洩れることばも
目の前にあり
耳元にあれば
ひとは
それらのひとつひとつを見直そうと
聞き直そうとして
立ち止まってしまう
虚空を見つめてしまう
傍目には
なぜだかぼんやりとしているように
見えてしまう

まだ暑いといっても
もう
残暑の暑さ

夏が終わって
空気や雲にうっすら秋が滲み染まってきている




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