台風が過ぎていったあとの
陽の落ちた森では
どこの道を歩いても
顔に引っかかるものがあった
道をはさんでかけられた
蜘蛛の糸で
払っても払っても
つぎつぎ顔に引っかかってくる
台風で切られた糸を
すぐにも修復しようとしてのことか
それとも嵐のあとでは
ほうぼうに糸を張ろうとする習性があるのか
顔に引っかかり続ける糸を払い払い
さんざん払い続けながら
陽の落ちた森を行く
闇のなかを歩いて行く
顔を払い払いしながら
台風にはこんな顔もあったのか
と
はじめて知る
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