2019年9月7日土曜日

ぼくだけ



この世の終わりが来たときも
わたしひとりは生き残る 
やなせたかし「私はドキンちゃん」*



夕食が
また
「タモリ倶楽部」の頃に
なってしまう

その時間になると
いまも
襖や障子のむこうにいるかのように
思い出される
ひとびと

電話してみれば
あの声で
きっと
応答するかのような
ひとびと

来週は
こう言ってやろう
呆れながら
あるいは
苛立ちながら
…そんなこともあった
土日の
ちょっとの休息のときにも
思いのなかに
こびりついていた
顔顔顔

深夜になってしまう夕食が
いつの頃も
ときどきはあり
生活が乱れていたのでもないのに
やるべき雑事が
重なって
積み重なって

ほんとに長寿番組で
むかし流行った
いろいろな時期のほかの番組は
もう
みんな
終わってしまったが

ぼくの小さな舞台も
まだ
続いている

生きのびている
まだ

ぼくだけ







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