2020年2月16日日曜日

先ずはさっさと




26歳ぐらいの男女
何人かに
会うことがあったが
新型コロナウィルスのことに
だれもが
無関心だった

ちょっと
驚かされた

「だって、防ぎようがないじゃないですか…」
「もう26まで生きたから、死んだら死んだで、しょうがないかな…」
「治るか、死ぬか、じぶんじゃ決められないし…」

ちょっと
驚かされた

なんと覇気のないことを…
年長者は
言ってしまいがちに
なるが

いや、待て

これって
良寛
か?????????

災難に逢う時節には災難に逢うがよく候 
死ぬる時節には死ぬがよく候
是はこれ災難をのがるゝ妙法にて候

三条で大地震があった時
親友だった俳人山田杜皐に送った手紙

悟っちゃってる
のか?
26歳にして
もう

だが
年長者から言わせれば
若い時には
誰でも
けっこう
悟っているもの
なんせ
26年しか生きていないのだ
失うものが
26年分しかない
蓄積物が生む価値の加速度が
少ない
死ぬのもけっこう
軽々
特攻機に乗せるのは
若者に
限るわけだ
さすが
臈長けているよな、司令官も
若さというものの
軽さ
死にやすさ
よく
わかっていた

さて
ところで
良寛
のことなんだが

さっき引用した有名な手紙の一節に関して
もうちっと
考えると
なんだ
んだ
んだ
大地震が起こった際に
彼が住んでいた五合庵のあたりは被害が少なく
山田杜皐の住んでいた与板の被害は
甚大であったという

おめえなァ…
良寛には言いたくもなる
余裕かましてんじゃ
ねえぞ
言いたくもなる
じぶんのほうはたいした被害もないんだから
そら
なんとでも言えるわけだ

災難に逢う時節には災難に逢うがよく候 
死ぬる時節には死ぬがよく候
是はこれ災難をのがるゝ妙法にて候

かっこいいねぇ
でも
五合庵
ぜんぶぶっ倒れてから
言ってごらん
半身不随にでもなってから
言ってごらん

だいたい
手紙にこんな文句を書いて
届けさせたりしないで
災害に遭って困りまくっている親友のところへ
じぶんの足で
先ずは
さっさと行ったらどうか
じかに
口で言い伝えたら
どうか

山田杜皐は造り酒屋だったので
彼の家に行っては
酒好きだった良寛さん
ずいぶん
飲ましてもらったそうな

な?
だからさ
余裕かまして手紙なんぞ書いてないで
先ずは
さっさと

先ずは
さっさと


(…はい、悟りなるもの、すこぶる怪しい、って、ことで……






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