大阪の吉村知事がすばらしい
と
老いた母が電話口で
言っていた
愚かな人間なのである
もっとも
読売新聞を取っているのに加え
テレビのワイドショーのあれこれを見ているから
洗脳されてしまっているのは
しかたないといえば
しかたない
二十代はじめに出奔してから
二度と戻っていない
いわゆる”実家“の
電話口で
大阪の吉村知事がすばらしい
と
老いた母が電話口で
言っていた
自分の親を完膚なき冷酷さで描いた私小説が
アニー・エルノーにある
自分が関わった人間の誰かれを
いいところもあったなどと甘く救おうとなどは全くせず
むしろ異常さを克明に浮き彫りにしていく手法を
わたしは何年もかけて学んだことがある
人間への憎悪が鋭い筆致に結晶するのを読むと
読者の脳は冴え渡る
他人を本当に他人とすること
組織も習俗も
文化
などという言葉の隠れ蓑に隠れて
持ち上げられようとする
ただの偏向性や癖や
一種の怠惰さを
すべて
完全な他人として観察すること
やがて
分解すること
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