2020年5月23日土曜日

八月までの光



とてもうつくしい花を見に行きましょう
それは野原でも谷でも高原でもないところに咲いています
それは咲いています
ですから水は持たなくてかまいません
なつかしい思い出がきっと待っていますよ
あなたは生まれる前です
ひかりはすこし青めがいいですか
手もお腹もあたたかいですね
小屋といっても中に入ると大きくて清潔です
本はありますがそれほど多くはない
長い葉っぱの背の高い植物がありますが名前は知りません
お腹が空いたら食べるものはちゃんとあるんですよ
知っている人にすれ違うかもしれませんから
赤いプラスチックの表面にちいさなサインをして去った人がいます
あまり長くない白いコードがかわいいペットでした
紫はけっこう好きです
履かない時の靴はたいてい鶯に戻ります
ラジオはもうぜんぶ食べてしまったでしょうね
絵本の固い紙がよい思い出になっていました
乗る前って飛行機をしげしげ眺めてしまいますよね
もう20年も前のデートが新鮮に街に貼りついています
鯉もきっと幸せでした、名前もつけてやりましたし
だんだん霧が晴れていくようです
もうすこし湖のまわりを歩きましょう
きっとあの人もあの人もあの人もあの人も来ます
赤い表紙の本を携えていれば死なないんです
マンションなのに深い森林でした
いつまで八月までの光を活けようと拘っているんですか
言葉で心を動かそうとしてはいけません




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