蒔いていないところからも朝顔の芽は出て
双葉が開いたと思ううちにいつのまにか本葉も出始めて
移し替えなければと思いながらも忙しさにかまけ
なかなか小さなシャベルを探し出して作業することができないでい た
ほんとうの夏の暑さに早朝から浸っているような今日
ようやっと決意して朝顔の移し替えの作業をし
ついでに鉢の裏や隙間に溜まっていた枯葉や枯れ落ちた薔薇の花弁 を
箒で掃き集めてある程度掃き清めることができた
こんもりと集まった枯葉や薔薇の花弁の中に
昨年の晩夏にヴェランダで死んでいたアブラゼミの遺骸もあったが
これは柵の淵に置いて自然に風でどこかに飛ばされるのを待ってい た死骸
何度やっても吹き戻されてしまうので柵の内側に放り出しておいた
いつまで経ってもヴェランダの内側に居座るアブラゼミの遺骸は
気持ちの中ではいつのまにかヴェランダの守り神のようになり
オリーブの木の下に居る時もあればコンクリートの床に居る時もあ って
いつまでも朽ちない固い殻にしばしの持続の物質化を見るようだっ た
にもかかわらず世の中と関ずらわる忙しさにいつのまにか
この持続のしばしの権化への注視も怠るようになってしまい
枯葉や薔薇の花弁の中に埋もれてしまったのさえ忘れてしまってい た!
さようなら! 永遠に! 半年ばかりの地上での持続経験の慎ましい伴侶よ
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