2020年7月30日木曜日

きみ?


 美しい雨がなんども過ぎて
数十年だれも踏み込んだことのない庭のまん中に
わたしひとり
踏み入って置いてきた古い小さな陶器の椀に
この雨季
数十回も天から落ちた雨が
流れ溢れては流れ溢れ
それでも縁まで水は溜まって
きっとなにか
貴重な粒子か金粉のようなものが
沈澱し始めたのではないかと
なんの役にも立たない
夢想を
きっと始めている
わたし
のではない
意識

きみ?



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