たったのひとりもいないんだけど

 

なにか思ったり

考えたり

計画なんかしてみたり

ものを書いてみたり

それを

だれかに見せてみたくなったり

 

そんなときに

かならずコンタクトしてみていた相手を

ひとり残らず

すべて失ってみてから

もう

１０年が経とうとしている

 

通信手段も

コントロール機能も

ぜんぶ失ったかたちで

なにをするにも

勘とまったくの手動だけで

よく

手がかりのまったくない空間を

ひとりだけで

漂ってこれたものと思う

 

こんな

ちっぽけな思いも

洩らしてみるべき相手が

だれもいない

んだけど

 

たったのひとりも

いない

んだけど