2020年11月8日日曜日

名前の善し悪しを

  

若い時には周囲の愚かな人間たちに動かされる部分も多いので

名前の善し悪しを気にしたりする

しかし歳を重ねるのにもよいこともあって

よい名前といわれるものを持っていた者たちも

ちょっとどうかという名前のものたちも

等し並みに死に絶えていったのを

さんざん見続けていった末に

名前などどうでもよいのだということが骨身に染みてわかっていく

どこかの収容所に入れられて長い番号を割り振られただけでも

平然と生き残っていく人たちも多ければ

選びに選び抜いた吉祥の名前を持ちながら

生老病死のどれにあっても過酷すぎる者たちもあまりに多かった

福や幸や寿や誉や富や吉などの麗々しく付いた名が

ごみ屋敷の表札によく掛かっていたりする





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