2021年2月25日木曜日

それはそれは懐かしく

 

 

大きな短歌結社に入っている知り合いによれば

昨年来ずっと

コロナ短歌のオンパレードだという

 

日本全国に散っている会員から送られてくるのは

ひたすら

コロナコロナコロナコロナの

短歌ばかり

 

今時わざわざ結社に入って

短歌など作る善良なる市民の一般人は

ビート・ジェネレーションも読んだことがなければ

シュールレアリズムにもモダニズムにも触れたことなどなく

ボードレールやランボーのような危険詩も知らず

ひたすらに家族主義や平和主義や事なかれ主義で

コロナ万歳!栄養の偏る外食減って万歳!といったふうな短歌など

もちろん作るわけもなく

内容は決まって

テレビが報じる程度の“大変ねえ”でも頑張りましょう”系の

コロナで大変

自粛頑張りましょう

子供たち可愛そう

などといった調子になるものだから

けっきょくテレビという大本営の発表を言い換えただけの

大政翼賛短歌の集積になるばかり

 

そのつまらないこと

つまらないこと

前後左右の人の歌をちょっと替えて

唱和しあっているだけのことで

数十年もしてガサッとふり返れば

民衆研究の資料にはそこそこなるだろうが

こりゃあ文学じゃあないわな

あゝ くだらない

ほんと くだらない

 

……という

感想なのだそうな

 

然もあらん

然もあらん

むかし結社に入っていた頃の

トップの命令一下

短歌協会で同じ投票を強いられたり

四季を通じてイベントや会合の運営を命じられたり

仲間を褒め称えたり

仲間の歌集は絶対に買うのを命じられたりした

戦中日本そのままのあの雰囲気を

それはそれは

懐かしく思い出しました

とさ





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