知りあいのひとりで
数年前に大病をしたひとから
ひさしぶりにメールが来た
病気や手術のあと
生活はすっかりガタガタになり
なんとか生きているものの
不調のなかでのリハビリ続きで
だいたいは家に閉じこもりぎみになり
昨今のウイルスさわぎにも
幸か不幸かまったく縁がなかった
よかったことといえば
なにかとぶつかりがちだった夫が
あれこれめんどうを見てくれるようになり
夫婦ふたりの家庭は逆に落ち着いて
心の安寧が得られるようになったこと
そのひとの義弟が先週死んだのだという
家系にガンがあまりに多いので
じぶんは罹るまいとつねに注意をし
食事にも生き方にも気をつかって
すこぶる健康に生きていたそうだが
からだを温めるのはガン予防にいいと
つとめて定期的に行っていた温泉で急死した
酒をすこし飲んでいい気分になって浸かりながら
大浴場の中で死んでいたのだという
ガンでも死なずウイルスでも死なず
からだのためになる温泉の中で死ぬのだから
皮肉というのか本望というのかと
そのひとのメールには書かれていた
現地の医師がふと思いついてPCRでもすれば
きっとこれもコロナ死にされてしまっただろうが
幸か不幸かもう荼毘にふされて弔いも終わり
突然見舞った出来事のせいであたふたと
義妹たちが事務的なことがらの整理で
大忙しで駆けまわっているのだという
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