2021年6月11日金曜日

「やちぐさ」を純粋に目指して


そこのホームはずいぶん長いので

冬の寒い日など

はしっこに下りてしまうと

改札まで歩いて行くのに

ずいぶんつらい気がした

 

夏は夏で

もちろんつらいのである

炎天下

屋根があるので

直射日光は避けられるものの

なんだか

改札にたどり着くまで

生きてられないような気になる

たどり着いたにしろ

外にはほんとうに暑い街が茹だっているのである

 

なので

駅前の甘味処「やちぐさ」は

砂漠のオアシスのように感じられた

その店がそこにあるというだけで

生きのびられるような気がした

 

わたくしの場合

「やちぐさ」がそこにあるのを見るだけで

いつも生きのびてこられたので

結局

一度も「やちぐさ」には入ったことがない

 

生きのびることとは関係なしに

今度という今度は

「やちぐさ」を純粋に目指してそこのホームに下りたって

暑くもなければ寒くもない好日

改札まで歩いて行こうと思う





0 件のコメント:

コメントを投稿