2021年6月11日金曜日

ドイツ薊

 

 

ドイツ薊

という名は

里中みゆきから教わった

 

その名をあえて此処で言いたくはない或る高原の

小川のほとりで

ちょっと

ピクニックめいたことをしている時で

ポットに入れた紅茶を飲んだり

みゆきが作ってくれたサンドイッチを食べたりしながら

真夏とはいえ

高原の涼しさのなか

くつろいでいる時だった

 

未来の仕事のこと

学業のこと

住みたい家のことなど

思い思いに語って

 

あゝ、若かったのだ!

あかるさと

夢と

希望と

将来とが

ドイツ薊という言葉に結びこまれて

忘れがたいものになった

めったには他人に語りたくもない名にもった






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