ドイツ薊
という名は
里中みゆきから教わった
その名をあえて此処で言いたくはない或る高原の
小川のほとりで
ちょっと
ピクニックめいたことをしている時で
ポットに入れた紅茶を飲んだり
みゆきが作ってくれたサンドイッチを食べたりしながら
真夏とはいえ
高原の涼しさのなか
くつろいでいる時だった
未来の仕事のこと
学業のこと
住みたい家のことなど
思い思いに語って
あゝ、若かったのだ!
あかるさと
夢と
希望と
将来とが
ドイツ薊という言葉に結びこまれて
忘れがたいものになった
めったには他人に語りたくもない名にもった
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