わたしなんぞからすれば
まわりを見まわすと
どいつもこいつもバカにしか見えない
なにかを信じていたりする
なにかを大切に思っていたりする
そういうのをバカという
信じるべきものなどないし
大切なものなどない
もちろん
世の中ひと付き合いも避けようがないから
なにか大事なものを共有しているふりもするし
なにかをいっしょに信じているふりもする
天皇は日本文化の保存のために大切だなどと
わたしの場合は平気でペラペラ言うが
その後に他のジャコバン派と会えば
天皇を除外しないとなんにも始まらんよと
またいくらでもペラペラ言う
言語と思いとを一致させる意義を全く感じないので
踏み絵の一切通用しないタイプなのである
こういう人間はいったいどこの誰に近いのか?
つらつら思い見るに
ヨーロッパ18世紀人なんだろうと思う
平等とか博愛などというものはからっきし信じない
自由だけを追い求めるタイプである
こっちの思想や感性が面白いと思っても飽きると
対立するそっちの思想や感性にサッと移る
それだってすぐに色褪せるから
そうしたらまたあっちの思想や感性に移る
どれもこれも永遠なものなどなく
その場その場で旬を味わえばいいだけのものだから
あっちこっち移っていくのは当然でもある
ほうぼうでサン=ジェルマン伯爵と呼ばれて
めんどうだからそう呼ばせるままにしてきたが
べつに名前なんかどうでもいいのだし
だいたいひとつやふたつの名前などすぐに飽きる
サドもカザノバもディドロも面白い奴らだったが
18世紀にはもっと面白いぶっ飛んだ自由人が
ほんとにあっちこっちにいっぱいいたものだった
そういう連中が物好きに集まって
革命などという見世物をやらかしたが
連中はなにせ飽きやすいので
しばらくしたらすぐに離れてしまって
今度は反革命を組織してみたり
あちこちで虐殺をやらかしてみたり
ぜんぶ捨ててどこかの古びた塔に籠ってみたり
当座使用の肉体を早々に捨て去って
はてはアストラル体どころか
コザール体あたりまでも捨て去って
遠いところというより遠近の消滅した
此処でもあればどこでもないところそのものに
なってしまったりもしたもの
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