2021年8月9日月曜日

あの緑や黄緑がなかったら

 


急に音立てて降り出してきた雨が

美しいわたしを蘇らせ

雲が

もうそろそろわたしだよと

ちょっと

遠い空から

告げてきている

 

朝顔が

赤いのも

紫のも

今朝は咲出でて

吹きつけてくる雨にやわらかな薄い肉のように揺れる

 

誰か来そうな気配だったと思っていたら

来たのは

今日という日だったのね

せつなくない

ふと

つよく思う

 

団扇があって

扇子があって

わたしがせめて一度

朝のまだはやいうちに使うのを

待っている

 

舞っている

 

灰色に見えるほどつよく降る時

むこうに見えている緑や黄緑が美しい

 

あの緑や黄緑がなかったら

この雨はどうしていただろう

 

わたしは死なない

 

みんな死ぬのが好きみたいだから

わたしは死なない

 

あの緑や黄緑がなかったら





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