親しんだひとびとを
ほんとうに
たくさん失ってきてみても
そのひとびとの
あのときの姿も
あのときの声も
まったく失われずに
耳や目のうらがわに
ありありと在るので
いつからか
思うようになっている
こう思う
わたしさえ
もう
死んでいて
わたしという
意識
のような
なにかうすい影
のような
ものが
しばらく続く
自動運動のように
そのひとびとの
あのときの姿も
あのときの声も
まったく失われずに
耳や目のうらがわに
ありありと在る
などと
思い続けている
のだろう
と
思う
われ思う
されど
われ無し
あゝ
なかったなあ
一度も
わたしの
われ
わたしの
わたし
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