2022年1月26日水曜日

最良の導師


 

「今まで、あの坊やの目を見たことがあるかい?」ホートンは訊いた。

「動物と同じなんだ。ただ見つめているだけ。何かをジッと待って。

   われわれ人間の知らない何かを知っている目だ。

   彼らは、どこか知らない、今までいたことのないどこかに住んでいたんだ」

ディヴィド・セルツァー『オーメン』

 

 


 

小学五年生の時に

教育委員会による学校での授業記録や

卒業アルバム用という名目で

私たちのクラスのいろいろな授業シーンが撮影された

 

その時の写真の数枚をもらったが

五年生ながらに

私は撮影された自分の姿を見て嫌な気持ちになった

姿勢を正し

真面目な顔をしながら適度に笑みを口元や目元に漂わせて

写されるのを過度に意識した私の良い子ぶりが

あまりに露骨に写っていた

こんなにもわざとらしい良い子ぶりをして

自分は常日頃生きているのかと

気持ち悪くなるほどだった

 

しかし

小学五年生の私はまだ知らなかったのだ

写真を撮られる時に良い子ぶりを演出した

私の無意識こそが

この下らぬ地球上学芸会では

最良の導師であったことを





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