軍の食堂で食べられるのは便利で
しかも
ヴォリュームもあるし
うまいし
なんといっても最高なのは
どれを食べても無料なことだった
個人で食費を出す必要は一切ない
大盛りを頼んでも無料だし
アラカルトで料理をくわえても無料だった
もちろん多めに食べる者には
他のふつうの量を食べる者に対してより
そのつど軍が多く負担することにはなるのだが
その程度の誤差はあらかじめ無視して
最初から多めに経費を投入しておくことで
全体の士気をつねに高めに保つほうが
軍全体としては益が出ると考えられていた
そもそも
他の者よりもつねに多く食べる兵士などというのは
ほとんどいなかった
食事を終えればつねに過酷な教練が控えていたり
神経を極限まで使う任務が待っていたりする
食べ過ぎれば心身が鈍くなるので
食事はおのずと適量にとるように誰もがなる
たらふく胃に詰め込んだ直後に何キロも走れば
途中で嘔吐することになるのだから
しばらくここで軍務につけば
食事のとり方については
だれもが賢明になっていくのだった
そうした事情を踏まえた上で
軍食堂に食べに来てきてみると
料理のバラエティーの豊富さやうまさや
無料でとれる量の自由さというのは
自分たちにとってちょうどいいぐらいの贅沢さを
いやな制限なしに見せてくれているようで
なかなか気持ちがよかった
軍食堂のこういう運営のしかたというのは
なんと頭がいいやり方だろうと
来るたびに
いつも思わされるのだった
0 件のコメント:
コメントを投稿