2022年3月21日月曜日

花園瑠璃子

 

 

うちのちかくなら

あそこにも

もうちょっと遠いあそこにも

(といっても12分くらいで行けるんだけど)

桜は咲き出しているはずだから

見に行かなくちゃ

 

思う

 

花園瑠璃子は

思う

 

近所の

よく挨拶する幼稚園児の美奈子ちゃんからもらった

大きなペロペロキャンディーを

きのう

木槌でかち割って

かけらを

すこしずつ舐めている

今日の

朝の

花園瑠璃子

 

どっちかというと

桜の頃より

梅雨の頃のほうがなぜか好き

と思う

花園瑠璃子

 

国際政治学科を卒業したものの

国際政治学を学んだとはいえないな

正直いって

興味

あったのって

バイトしてたパン屋さんでの生地捏ねとか

日本料理店での接待のしかたとか

だったものな

 

かといって

引け目に思っているわけでもない

花園瑠璃子

 

肩まである黒髪がさらりと

若い

若い

香水もつけないのにいい香りのする

花園瑠璃子

 

じぶんで驕ったりはしないものの

けっこう美人だとは知っている

花園瑠璃子

 

会いに行きたいな

あの子になら

峰雪孝四郎はときどき思う

 

じゃあ

会いに行ってみろよ

春日保は

無責任に言ってみる

 

まわりを桜でかこまれた

大きな池に

ボートで漕ぎ出して

白水虹子と古谷聡はちょっとドギマギしている

はじめての

ボートデートだ

 

わたしは花園瑠璃子

わたしはしあわせになる

もっともっとなる

洗面所の鏡のわきの窓から見える

となりの家の庭の桜を見ながら

思う

 

わたしは花園瑠璃子

わたしはしあわせになる

もっともっとなる

 





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