買い物や浄水汲みに出て
帰ってくる二十三時頃
ふと空を見ると
大きな月が出ていて
満月?
と思ったが
たしか
おとといあたりが満月だったので
今日は十七夜ぐらいか
十七夜でも
月はこんなに丸くて
大きいんだなあ
と感心し
感心し直し
行く必要のない陸橋まで
歩いて行ってしまって
そこを上って
しばし
お月見をしてしまった
お月見といえば
もちろん
いろいろなところで
いろいろな人たちと
いろいろなお月見をしてきたが
典型的なお月見風景として
いまでも心に残っているのは
「チロリン村とクルミの木」の
絵本で見たお月見風景だ*
夕食後らしく
モグラのおじさんみたいな人が
井戸端で食器を洗っている
他の人物たち四人は
まん丸の夕月を見上げて
あかるい名月を喜んでいる
空が夜の入りのいい青さで
楽しい見事なお月見風景なのだ
子どもの頃に見た
この
お月見の絵が心に焼きついて
お月見のお月見たるべきお月見は
かくあるべし
と思い込むようになってしまった
この絵のとおりのお月見は
たぶん現実にはしたことがない
満月だのお月見だのといえば
いまでもこの絵のような風景に
あこがれ続けている気がする
*『チロリン村とクルミの木 わらべうたのまき(すずきのえほん)』、鈴木出版(
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