気ままな詩選を自分の愉しみのために。制作年代も意図も問わず、まちまちに。
まとわりついて
時間が誘惑してくるから
蜘蛛の糸や
カラスウリの花のレースのようになって
つかみどころ
なくしてしまった人も
ひとりやふたり
だけ
ではない
―すぐ暮れる土地ですね
―峠の上にあるのにねえ
裸足で走っていった子が
また戻ってくる
走って
こんどは足も
なしで
だから
足音も聞こえません
あなたが
さっき聞いたのは
新月の
瀬を撫でて
ちょっと水のおもてを掬う
音
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