2022年11月16日水曜日

もうなにもかも終わってしまっていて

 

  

愛された記憶はどこか透明でいつでも一人いつだって一人

                                                                              俵万智

 

 


 

たとえば

繁華な街の広場や

通りに

出てみる

 

お昼どきなら

特にいい

 

いっぱい

人が

歩いている

 

あっちの

店に向かったり

こっちの

レストランに向かったり

そっちの

中華屋を見に行ったり

 

あと10年もしたら

20年もしたら

30年もしたら

この人たち

ほとんど消滅するんだ

と思う

 

いつかわからない

でも

かならず

いつか

みんな消滅して

しまう

いなかったのと

おなじに

なってしまう

 

四次元の目で見れば

いま

もうすっかり

消滅してしまってもいるのだ

もうだれひとり

いなくなっているのだ

 

繁華な街の広場や

通りに

出てみながら

そう思う

いつも

 

もう

なにもかも

終わってしまっていて

もう

だれひとり

いなくなってしまっていて

 

ぼくだって

わたしだって

すっかり

透明で

 

いつでも

ひとり

 

いつだって

ひとり





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