歳をかさねてくると
なにを見ても
なにを聞いても
ちょっとした
どんな動作をしても
過去のたくさんの瞬間が
つよく蘇ってきて
あたまのなかは
忙しくなる
思い出されたことは
すぐに
つながっているほかの思い出を
引き寄せるので
どこまでも
どこまでいっても
思い出の
無限の連鎖
子どもの頃から
過去を思い出しては
ためつすがめつ
玉のように
いろいろな角度から
見直し続ける性質だったので
歳をかさねたからといって
思い出の宝玉を
見続けて楽しんでいるわけでも
ないのだが
あゝ それにしても!
過去のあらゆる瞬間たちよ!
わたしはおまえたちに驚き続け
おまえたちを愛で
おまえたちに感謝する!
なんとすばらしい玉の数々に
わたしは恵まれ続けたことか!
過去という宝玉の
飽きることない鑑賞者となるために
生まれてきたわたしだったか?
一瞬一瞬を生きるためでなど
じつはなしに?
過去を玉と成し
過去を愛でてあたたかく保管し続け
くりかえしくりかえし
こちらの角度から
またあちらの角度から
鑑賞し続けるためだけに
生まれてきた
わたしだったか?
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