2023年2月25日土曜日

コオロギかわいそう

 

 

 

Quel, mon ami ? Celui du néant ; jamais il ne m’a effrayé, et je n’y vois rien que de consolent et de simple ; tous les autres sont l’ouvrage de l’orgueil, celui-là seul l’est de la raison.

Marquis de Sade  «Discours contre Dieu»

 

「(私を満足させるのが死後についての)どんな理論か、って? 死後にはなにもない、という理論ですよ。それが私を恐れさせたことは一度もない。そこには、慰めとなるものやシンプルさしか私には見出せませんな。他のシステムのすべては人間の傲慢さの作物ですが、こいつだけは理性に適ったものです」

サド侯爵 『神なるものに抗してのおしゃべり』

 

 

 

このところ

声高に

「全世界の全体主義者よ、団結せよ!」

「立て、全世界の全体主義者!」

「連帯せよ、全世界のコンフォルミスト!」

とうるさいことしきりの

21世紀全体主義インターナショナルが

莫大な資金を使って

人類の2%未満による地球支配を推進するべく

いつもと同様

金にあかして各国に指令を出し

人類のほぼ98%を食の面でも奴隷化するために

あからさまにコオロギ食キャンペーンを展開している

その他の昆虫食キャンペーンもすでに始まっており

そう遠くないうちにゴキブリ食を主流とさせていくらしい

 

コオロギには人体にとって害となる成分が含まれており

それは熱処理をしても解消されないという説があり

コオロギに寄生している微細な虫や細菌も

看過しえない害毒を人体にもたらすだろうと言われてもいるし

なによりワクチンという偽名で多くの死者や生活不能者を

後から後から続々と今現在出しつつある

遅毒性の毒液に仕組まれたmRNAを仕込むのが

コオロギの場合には非常に容易だということでもあって

もしふつうに身体の健康を図ろうとするのならば

コオロギ食は注意の上にも注意すべきものと言わねばならない

 

はずだが

まあ

そんなことはわたくしにはどうでもよくって

しきりに思われてならないのは

コオロギ

かわいそう

ということなんだナ

 

二年前から

ひょんなことからスズムシがわが生活に入り込んできて

飼いはじめてみたら

一匹一匹に人格ならぬ虫格がちゃんとあるのが

よおく見えた

 

それをきっかけに

虫というものの個別性の存在に目覚め直し

毎日餌をやったり

霧吹きをしたり

増えすぎたケースから新たなケースに移動させたりして

観察し続けるうちに

スズムシと人間とはほとんど大差がない!

ということを

確信するに至ったのであった

 

繊細で脆弱なスズムシとくらべ

コオロギはもっと大きくて

存在感がだいぶ違うほどだが

わが愛でるスズムシのお仲間にはちがいなく

子どもの頃にたくさん捕まえて飼った経験からして

あの丸っこいアタマのおもしろさや

鳴き声の見事さなどを思うに

かれらを乾燥させてパリパリ食べるとか

がりがり砕いて粉末にするとか

とんでもない残虐なことを考えやがる!と

むかついてむかついてたまらない

 

コオロギをつかまえて飼ったりした

少年時代を持つ人なら

手ちがいからコオロギをつぶしてしまったことや

後脚を取ってしまったことがあるだろうが

そんな時には

ああ大失敗をしてしまった

ああなんと精巧な運動体を毀損してしまったことか

と後悔したことがあるにちがいない

あのプワプワしたやわらかいお腹が

どれほど大事に守るべき創造物であるか

あの丸っこいアタマのおもしろさが

どれほど生き長らえてほしい相棒であるか

思わなかった少年は少ないにちがいない

 

昆虫を食べるなどということは

よくよく時間をかけて虫と遊ばなかった

心のかたわな不幸な連中しか思いつかないことだろう

虫というのは見つめたら大事に捕まえて

まずは飼ってみるべきものであって

すぐに殺したり食べたりすべきものではない

なあんだ人間とだいたいは同じもんだなと

わかってくるまでは餌をやりながらつき合うべきものだ

 

未来のタンパク質不足を解消するためだというのなら

まよわず人体食を開始すればいい

他の生物たちに迷惑をかけることなしに

ヒトの内部で食いあうサイクルを確立していったらいい

死体を焼却したり土葬して腐らせるのはもったいなく

死にたてのうちに食肉処理をして

タレに漬け込んだりスパイスをたっぷり塗して腐敗を防ぎ

いろいろな工夫をして食用とすればいい

虫を食うか人肉を食うか選ぶなら

どうしたって人肉を食うほうがいいに決まっている

大日本帝国軍人たちは白人を白豚と呼んで

東南アジア地域では捕虜を殺して食ったりもしたそうだが

たしかに脂の乗った白人肉など焼きようによってはうまいかもしれない

 

食肉用ヒトを飼育して人肉市場を整備するのも大事だし

けっこう容易に作ったり維持できるだろう

「おいしい人肉食!」というキャンペーンは

なにをするにも皮肉の効いたイギリスのBBCに打ってつけだろう

CNNでもFOXでもどこでもうまくやってくれるはず

世界の主要メディアがやり出せば

なんでも欧米のいいなりになる犬HKがもちろんやるし

電通や博報堂あたりも「京都のおなごの乳肉いかが?」とか言って

プルルンと乳首から水が滴る映像付きで全国放映してくれるだろう

けっこうオヤジ肉や年増女肉や90歳超えのスジ肉煮込みなんかを

異様に好む購買層も出てくること必定で

人肉市場はぜったいに活況を呈することと思うネ

 

地産地消というけれどもいちばんの地産地消はそれそれ

ヒトがヒトを食うのがなによりいちばんじゃないの?というわけ

もちろん肉だけでなく身体から出るあらゆるものを食材にするわけ

糞尿なんかはぜったいに捨てちゃいけません

そのまま搾りたてを飲んだり食したりもいいでしょうが

煮たり焼いたり干したりまた水戻ししたりして

22世紀以降の諸君には大事な食材として使ってほしいものでございますヨ

 

とにかく

コオロギ

かわいそう

ってこと

 

ちゃんとヒトを食べよう

だって

人間だもの

©相田みつを)





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