2023年2月8日水曜日

騒霊

 

 

いつからか

ぼく

死んでいたので

ひと死にも

遠巻きに

平気で

見てしまえて

いる

 

だれの

いのちにも

行為にも

思いにも

感情にも

なんの価値も

この世では

ない

 

こう確信しての

地上滞在が

夢として

まだ

続いている

かのよう

 

として

まだ

 

さわがしく

あるいは

活気に溢れてでも

いるかの

ように

うごめいていた

どんな人も

数十年で

鳴りをひそめる

かならず

 

これが

地上

おきて

 

だれよりも先に

ぼく

死んで

いたので

ああうるさい

はやく

死んでしまえばいいのに

思った

みんなも

 

それは

でも

まちがい

 

例外なしに

死んで

いたのだ

みんな

 

さわがしく

あるいは

活気に溢れてでも

いるかの

ように

うごめいていた

のは

やはり

騒霊

すぎなかった

 

死んでいたのだ

みんな

ひとり残らず

 

ぼくより

深く

 

ぼくより

先に





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