もういいんじゃない？

 

 

桜の花咲く時期には

りっぱなカメラを持つ人たちの

まあ

忙しいこと

 

わたしはスマホだけで

まあ

気楽だこと

 

小学生の頃から

そんなに

りっぱじゃないけれど

リコー・オートハーフから始まって

ペンタックスや

キャノンや

ニコンの一眼レフや

ほかにもちっちゃいのなら

数えきれぬほど

たくさん

使ってみてきて

今から10年前かしら

晩秋のパリで

スマホのカメラ機能が

軽々と

持ってきたカメラを凌駕したのを実感し

もう

カメラ

使いません

と決めた

 

つき合いのあった

カメラマンや

カメラウーマンなどは

花見の頃や

紅葉の頃

ごたいそうなカメラに

ごたいそうなレンズを付けて

じっくりと撮っているシロウトたちを見て

撮ったってしょうがないのにね

どうせ売れるわけでもないのにね

ぼくなんか

こんなお花見の時は小型カメラでじゅうぶん

などと言って

ひややかにアマチュアカメラマンたちを

見ていた

 

売れなくってけっこう

撮るのが楽しいだけでけっこう

と思っている

アマチュアカメラマンたちは

あれでいいんじゃない？

と

わたしは思うが

ただ

ただ

ただ

たしかに誰が撮ってもかわらないような桜の写真をちょっと撮るなら

スマホで

いいんじゃない？

いいんじゃない？

と

思いはする

 

撮ったら撮ったで

写真の整理だのあれこれだので

けっこう

時間が消えていくから

スマホで

いいんじゃない？

もう

いいんじゃない？

と

思いはする

 

もう

いいんじゃない？

と

思いはする