2023年3月29日水曜日

なんにも書かなかったら

 

 

いまさら

中原中也でもない感じ

いっぱいの

時代だけれど

 

なんにも書かなかったら
みんな書いたことになった

 

覚悟を定めてみれば、
此の世は平明なものだった

 

夕陽に向って、
野原に立っていた。*

 

なんていう

書きつけみたいな

中也の詩句を

思い出すと

 

そうだよなあ

ほんと

そうだよ

共感してしまう

 

なんにも書かなかったら
みんな書いたことになった

 

って

ほんと

そうだよなあ

って

 

書く

書く

って

言ったって

 

アタマや

ココロを流れていく

あれこれの

すべてを

ぜんぶ書けるわけじゃなし

ぜんぶ書いたから

どうだっていうわけでもなし

いつも

中途半端な判断で

テーマ選択なんかしちゃったりして

書いたり

書かなかったり

 

なにか書く

って

いうことは

書かれなかった

いっぱいの

テーマやネタがある

って

いうことで

ひょっとしたら

そっちのほうにこそ

もっと

もっと

すごいものが

あったかも

しれないのだし

 

書く書く書く

だった

人生の人たちも

結局は

なんにも書かないところへと

滝下りしていく

 

滝壺に

いずれ落っこちて

人なんて

すっかり消滅してしまっても

滝は

残るんだよねえ

 

滝だけは

流れつづけ

 

滝だけは

落ちつづけ

 

残るんだよねえ

滝だけは

 

残るんだよねえ

 

残る

 

 



 

*中原中也「(なんにも書かなかったら)」

 






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