なあんにも

 

 

見たこともないような

見聞きするはずもないような

そんなことを

本当は文字に語らせていってみたいと思いながら

緑樂沼の

ちょっと小暗いあたりを歩いていましたら

「河童に注意」と書かれた看板が立っていましたので

やっぱり

このあたりは出るのかいなあ

と

ちょっとゾクッとしながら

まわりを見まわしてみましたら

河童どころか

なあんにもなくって

沼のまわりの小暗い雰囲気しかなくって

度肝を抜かれてしまいました

本当に

なあんにもなくって

真っ白というか

グレーというか

乾いていない漆喰みたいに

どろーっと

なあんにもないんでございますのよ