2023年7月9日日曜日

ちょっと目を逸らして

 

 

ひとの話をボーッと聞いていたり

センセらの話はいっそうボーッと聞いていたり

新聞やテレビの伝えることを

大ざっぱに見たり聞いたりしていていつも思うのは

なにか喋ったり書いたりするひとが

いろいろなことを

これはこういうものだ

あれはああいうものだ

と決めつけて喋ったり書いたりしていることだ

 

ぼくより年下のひとでも

子ども時代は懐かしいもの

夏は暑くて嫌なもの

ディズニーランドは楽しいもの

B級グルメはみんなが好きで興味があるもの

とかなんとか

だいたい決めつけてあって

それにもとづいて

どうでもいいグータラな話を

えんえんと組み上げていく

 

そういうの

すごく腹が立つ

 

なにかひとつのものはある特定の意味作用や印象を持つ

っていう決めつけかたって

昔ならスターリニズムと呼ばれたが

今のひとたちは常識だとでも言うのだろうか?

 

いちいち逆らっても

めんどうだし

うるさいひとだなと思われるだけだから

ふだんはなんにも言わないけれど

ほんと

バカなんじゃなかろうか?

という連中が

いろいろなメディアに平気で顔を出して

どうでもいいグータラな話を

いつも

いつまでも

えんえんと組み上げていく

 

むかし

大批評家のロラン・バルトっていうひとは

どこかで

 

ちょっと目を逸らす

という

最大の批評

 

というようなことを

書いていた

 

そこから

ちょっと目を逸らして

それを見ない

 

もっとも紳士的で

もっとも優しく

もっとも決定的な批評は

これだ

 

 



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