2023年8月28日月曜日

風はのれんをばたばたなかせて

 

 

 

中島みゆきの曲では

1980年の「蕎麦屋」が最高のうちのひとつではないか

と個人的には思う

 

中島みゆき本人の歌はYouTubeには載らないので

(正直言って

そろそろYouTubeに公式版を載せ始めたほうがいい

もう若者は知らないよ

中島みゆきの古い歌なんて…)

他の人の歌を探すとなると

トランスジェンダーの歌手

中村中(あたる)〔男女〕の歌っているものが

なかなかいい

以前よりも穏やかな歌い方になっている

 

https://youtu.be/Aors151LACc?si=jQJibV2uli7n8ZF-

 

 

学生時代

早春に

友人が下宿から他の下宿に引っ越すのを手伝いに行った時

隣の住人の学生が

数時間ずっと中島みゆきのアルバムをかけているのが

聞こえていた

 

なぜか「蕎麦屋」を何度も何度もかけていたので

荷造りをしているうちに

覚えてしまった

 

その時にはじめて「蕎麦屋」を聴いたのだが

1980年代はじめの日本の

経済上昇の中に

大きなシラケ感とむなしさが混じり入っている雰囲気を

よく表している曲

と感じた

数年後にやってくるバブル期とはまったく違う

高度成長と学生運動などが終わって

ひと時

凪いだように平穏になった時期だった

 

「風はのれんをばたばたなかせて 

ラジオは知ったかぶりの大相撲中継」‥‥

 

この歌詞ほど

1980年代はじめの日本を

みごとに表し切った歌詞はない

と思えた

 

 

「蕎麦屋」は

中島みゆきが所ジョージにゲームで負けて

罰ゲームとして作った曲

 

「オールナイトニッポン」のDJだった中島みゆきと所ジョージは

双方の番組に出てゲームをしたりしていたが

中島みゆきが負けた時に

所ジョージの1979年の曲「寿司屋」に関連させた曲を

作らされることになったのだ

 

 

歌のなかのモデルとなったのは

中島みゆきを長年撮ってきた写真家の田村仁

といわれる

2ndアルバム『みんな去ってしまった』以来

ジャケットや雑誌の写真はみな田村仁の撮ったもので

中島みゆきは

親しみを込めて彼を「タムジン」と呼んでいる

『ライカM4』という曲でも

彼を登場させた

 

 

うどん好きで

コンサート前に力うどんを食べたりする中島みゆきは

「蕎麦屋」のなかでも

蕎麦でなくて

うどんを登場させている

うっかり聞き逃してしまいがちだが

 

くやし涙を流しながら 

  あたしたぬきうどんを食べている

 

と歌っているのだ

 

 

中島みゆきが非常な小顔であることも

歌詞に影響を落とした

 

 「ホラ、あたし、『蕎麦屋』って歌書いたときに

どんぶりに顔つっこんで

という歌詞入れたのよね

それが自分では不思議ではなかったの

でも

普通の人は無理なんだってね」

 

顔を洗うのにも

片手だけで済んでしまうほど

顔の小さい人ならではの発想が

自然に

出てしまったらしい

 

 

なぜか

中村中によるカヴァーヴァージョンでは

「たぬきうどん」のくだりも

「どんぶりに顔つっこんで」のくだりも

省略されている







0 件のコメント:

コメントを投稿