2023年8月31日木曜日

いまだに来ない頼朝

 

 

 

  頼朝はどこにもをりてひたすらに蹶起せざれば木を植ゑてゐる

  馬場あき子

 

 

 

 

石井克人監督の『茶の味』こそ

21世紀はじめの

日本映画の最大の傑作だったはずだが

忘れている人も多いようだ

 

 

『茶の味』予告編

https://youtu.be/Da6FJH7IkNA

 

 

このヘンテコさ加減

脱力したタラっとした和みぐあい

誰もが自由にのんびり自己探求をしている雰囲気は

バブル崩壊後の日本の

とにかくもダラダラと平和ではある空気

それなりに文化の極みに達した空気を

本当によく表していた

 

2004年の作品だ

ということが

とっても

重要

 

この後

2006年に始まる安倍晋三内閣と

第二次安倍晋三内閣が

日本のモラルも

経済も

文化も

すべて破壊していくからだ

 

平家にあらずば人々むなし

ならぬ

安倍取り巻きにあらずば人々むなし

となって

頼朝を待つばかりとなった

平成日本

 

いまだに

以仁王は挙兵しないし

頼政も旗揚げしていない

頼朝も来ない

 

ちなみに

以仁王の姉は

式子内親王である

 

いま見直すと

『茶の味』は

安倍晋三政権が破壊してしまった

平成日本の最良の頃の文化的空気を

みごとに伝える

タイムカプセルのような映画となっている

 

CM制作を本領とする石井克人は

8月の約束』で

ゆうばり国際冒険ファンタスティック映画祭ビデオ部門グランプリ受賞を取り

『鮫肌男と桃尻女』(望月峯太郎原作、浅野忠信主演)

PARTY7』(永瀬正敏主演)が評価されて

時代の新監督

と目されるようになっていた

 

『茶の味』は

もちろん

小津安二郎の『お茶漬けの味』や

とりわけ

小津の遺作『秋刀魚の味』を

冗談半分に引き受けるタイトルだが

21世紀はじめまでのニッポン家族や

ニッポン日常というものを描こうとした点では

けっこう

真面目な取り組みだったかもしれない

 

なんたって

映画の中に闖入するあれらの歌が

史上稀に見る奇妙奇天烈さで

あれが

1990年代から2000年はじめのニッポンだよなァ

と思い出させられる

 

監督本人の作詞作曲になる「山よ」!

日本映画史上

最大の奇曲!

眉の繋がった俳優・我修院達也と

素人の轟木一騎の歌唱場面の

鬼気迫る異様さを

デューク・エイセスの声が支えて

2004年カンヌ国際映画祭監督週間の

オープニング作品として上映された時には

世界は

文字通りぶっ飛んだのだ

 

 

「山よ」

https://youtu.be/X-rbKFdQ0Rg

 

 

♪なんであなたは三角定規なの?と

我修院達也の歌う「三角形」も

なんという

とんでもなさか!

 

こうした

とんでもなさ

奇妙奇天烈さ

荒唐無稽さ

これらを誰もが必死に探し求めていたのが

1980年代や1990年代から2000年はじめだったが

それがいつのまにか

「うつくしい日本」などと

シレーッと発語してしまえる

偽善者新興成金どもによって

アベられてしまうことになったのだ

 

 

「三角形」

https://youtu.be/mIVcyCVktSs

 

 





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