ことばを浮遊させれば
故郷を懐かしむ鉛筆たちはやわらかくなり
机の上で
ゴムチューブのようにさまざまな姿態を見せ
ものたちと来たら
考えられる
山塊には門が立ち並び
それらを潜って
単純化と抽象化は邁進する
結局は
ひとつの物語を刻んでいこうとするだけではないか!
どんな思考も
野アザミの棘も美しいあのつよい色も
みんな落して
名づけられた子はある程度生きてみな死に絶えていく
名付けられなかった子だけが生きのびる
だから
ことばは恐いよ
と
言っておいたのに
ほとんどすべての情報に対する防壁を
まわりに築いたりして
無限にいのちが流れ込む回路を
平気で遮断したりなんか
して
やさしい狂ったおにいさんがひとりでおままごと遊びしている
春の野原に
ほら
出てきておいで
大事な知恵をふんだんに持っているおじいさんの居場所を
おにいさん
まだ知っているから
めったに怒られたりはしないだろうけれど
ていねいに御挨拶して
どんぐりの殻斗に注いでもらった雑草のお茶を
ありがたくいただくふりを
するのだよ
おいしゅうございました
とか
ありがたく頂戴いたしました
とか
ちゃあんと
お礼をしてから
立ち上がるのだよ
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