2024年3月26日火曜日

やさしい狂ったおにいさんがひとりでおままごと遊びしている

 

 

 

ことばを浮遊させれば

故郷を懐かしむ鉛筆たちはやわらかくなり

机の上で

ゴムチューブのようにさまざまな姿態を見せ

ものたちと来たら

考えられる

山塊には門が立ち並び

それらを潜って

単純化と抽象化は邁進する

 

結局は

ひとつの物語を刻んでいこうとするだけではないか!

どんな思考も

野アザミの棘も美しいあのつよい色も

みんな落して

 

名づけられた子はある程度生きてみな死に絶えていく

名付けられなかった子だけが生きのびる

 

だから

ことばは恐いよ

言っておいたのに

ほとんどすべての情報に対する防壁を

まわりに築いたりして

無限にいのちが流れ込む回路を

平気で遮断したりなんか

して

 

やさしい狂ったおにいさんがひとりでおままごと遊びしている

春の野原に

ほら

出てきておいで

大事な知恵をふんだんに持っているおじいさんの居場所を

おにいさん

まだ知っているから

 

めったに怒られたりはしないだろうけれど

ていねいに御挨拶して

どんぐりの殻斗に注いでもらった雑草のお茶を

ありがたくいただくふりを

するのだよ

 

おいしゅうございました

とか

ありがたく頂戴いたしました

とか

ちゃあんと

お礼をしてから

立ち上がるのだよ





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