2024年11月1日金曜日

たったひとりにさえ

 

 

人もまた

どうしようもなく自然であり

昆虫のように

草木のように

見ていて興趣尽きない

 

暮れがた

混雑した大きな駅前を行き来する人々の上に

よく見れば美しい文目の雲がかかり

ビルに遮られている部分を補正して想像し直せば

上空のひろがりは雄大で

たったひとりさえ

このひろがりを逃れ得ずに覆われ尽くしているのを思えば

恐ろしく美しかった

 

この無数の人々には

まったく逃げ場がない

 

たったひとりにさえ

 




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