夢のような
といえば
ちょっとほんわかした
気分のいい
うっとりするような世界か
と思うが
実際に見る夢は
やけに地味な
現実的このうえない光景
だったりする
どこかの洞窟じみたカフェの
夢で見た
地下のトイレも
なかなか
ひどかった
きたない
というわけではない
の
だが
どこかの火山の麓のように
溶岩の柱みたいな
打ちっぱなしのコンクリートや
本当の溶岩のかたまりや
壁づくりに使われるブロックなどで
大小の小山が並んでいる
なんだかとんでもないトイレで
それらの山の上に
いちいち便器が置かれている
個室になっておらず
大小便をいたそうとする者は
それら小山に上って便器に腰を下ろし
まわりに裸の尻を晒したかっこうで
用を足さねばならない
それだけなら
まだしも
便器山のひとつひとつは
いちいち高さが違っているし
便器の種類も大きさも形状も違っているので
ある便器のとなりの便器は
ずいぶん下に位置していることもある
使う便器によっては
晒す尻に接しそうになるほど近くに
となりの便器に座る人の顔があったりするので
排便の際に出るいろいろな音を
どう控えめにしようかと
つねづね考えざるをえなくなって
どうにも使い心地が悪い
参ったなあ
どうしようかなあ
とりあえずは
どの便器を選ぼうかなあ
などと悩みながら
何十個あるんだかわからないような
岩づくりの便器神社群を前に
呆然と立ちすくんでしまっている