2012年9月4日火曜日

八月歌(二)



八月十八日

ラウルデュフィの海に戻らむ「ドーヴィルのレガッタの後」の桔梗の色の

中国は沖縄さへも自領といひ対馬返せと韓国はいふ

敵持つもより良き生の秘訣にてカールシュミットに訪はれてゐたり

竹島も尖閣もくれてやるべしと非暴力主義者ら何故叫ばぬか

煉瓦投げても特段の罪にならぬなら官邸前デモで投げてやらうか

放射能は危険でないとなほも言ふ福島の遠縁にもうメールせず

ミシシッピ川の枯渇激しくアメリカのこれも受くべき報いのひとつ

堂々と応じよと野田は中国に言ふこの嘘つきの腐れ泥鰌が

アサンジを出せエクアドルと圧力をかける英国とかいふヤクザ

CNNビデオは伝ふあつさりと南ア労働者銃殺せらるるを

五年ほどして人々は死に始むチェルノブイリで起こりしごとく

ドホナーニのマーラー6番〈悲劇的〉よし レヴァイン、ブーレーズもいいが

カラヤン+ムターのチャイコviolin協の遅さに驚きつつ聴く久しぶり

蒸し暑き日に良きもののひとつにてミケランジェリのドビュッシー「Image

突然の豪雨の戸外 室内はコープマン奏するテレマン室内楽集

嵐来るたび蘇るサージェームズポールマッカートニー「アンクル・アルバート/ハルセイ提督」

マーラー5番バルビローリの森は深み崩れむとしつつ崩れざるかも

大貫妙子くりかへし聴きし頃もあり若年はただ寂しく過ぎき

俄雨過ぐれば蝉の声はげし山々もとほくうた歌ふめり

サラ・チャンの逞しき弦よツィゴイネルワイゼンの勁き太きさびしさ

アントニオ・ソレルのピアノソナタ集に飽かず至上の晩夏に入れり

モンポウをただ掛けてゐる居間にして初物の林檎なほ赤薄き

在留の中韓の友は居心地の悪き時期なり思ひやるべし

ウェーベルン「夏風の中で」聴きながら素麺に使ふ生姜擂りゐる

秋に移る頃あひの空のうつくしさ見飽かず河や運河のほとり

カール・リヒター峻厳にして逞しきブランデンブルク5番また観る

芸もなき通俗浮薄の撰集も楽し夏逝く野のモーツアルト

チェンバロのあれこれの機種の細々を教へくれしよ鍋島元子

ネトウヨあればネトサヨもありネトポチもネトヘタレさらにネトノンポリも

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