寒くなってきた
寒さも
また
たくさんの過去に繋がる
スイッチ
あそこでの寒さ
あのときの寒さ
寒さもアルバムだ
学生の頃
奥多摩の遠縁の葬式で
初冬の
ことに寒い夜
列車を乗りつぎ
乗りつぎ
さらに
タクシーに乗りついだ
駅で立っていても
ベンチに座っても
からだの芯から震えが来て
顎ががくがく鳴った
ブルターニュのカルナックでは
冬の日
列石群を訪れながら
やはり
震えが止まらなかった
家の中に入っても
湿った寒さは
よく燃える暖炉に向かっても
背から染み込んでくる
あゝ
たくさんの
とりどりの
寒さの思い出
寒ささえ
財産だったと
今は
知っている
0 件のコメント:
コメントを投稿