2022年12月6日火曜日

寒ささえ

 

 

寒くなってきた

 

さも

また

たくさんの過去に繋がる

スイッチ

 

あそこでの寒さ

あのときの寒さ

 

寒さもアルバムだ

 

学生の頃

奥多摩の遠縁の葬式で

初冬の

ことに寒い夜

列車を乗りつぎ

乗りつぎ

さらに

タクシーに乗りついだ

駅で立っていても

ベンチに座っても

からだの芯から震えが来て

顎ががくがく鳴った

 

ブルターニュのカルナックでは

冬の日

列石群を訪れながら

やはり

震えが止まらなかった

家の中に入っても

湿った寒さは

よく燃える暖炉に向かっても

背から染み込んでくる

 

あゝ

たくさんの

とりどりの

寒さの思い出

 

寒ささえ

財産だったと

今は

知っている





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