2011年5月22日日曜日

山なみをさえぎって



ジーンズ
洗ったばかり
吊るしてあるけれど
濡れたまま
よく脱水しなかったものね
ぽたぽた
滴が土に落ちる
いい音
生きるのには
ふさわしい

遠くの山なみが
うっすら青くかすむ
こころは
飛んでいくよ
あこがれる
ばかりだった
こころ
深さと充実
いつもどこかに
感じあてて
海綿みたいに
よく吸えるよう
いつも空虚で

はだかの尻のまま
山なみをさえぎって
なにを
さがしているの 
ぼくの前を
よこぎっていく
おまえ
ボタンをとめず
しろいシャツだけ
はおって
すこし肌ざむくない?
しばらく
陽のあたる窓辺をさまよい
きっと
また
出ていこうとする
家のとびらから
山なみにまでずっと
ひろがっていく
草の原へ
むこうへ

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