駿河昌樹 詩抄
気ままな詩選を自分の愉しみのために。制作年代も意図も問わず、まちまちに。
2012年2月14日火曜日
こんなにも遅れてきて
わたしの未来がしずかに階段をのぼる
エミリ・ディキンスン
きみ
とぼくは呼ぶ
書く
だれかな?
きみは
宛てのない
発語はない
ひとりでメモを
寒空の下
たとえばダッハウや
アウシュビッツで
記すとしても
それは近未来のきみに
宛てられた語
我と汝
その間でしか
言葉は生まれない
だれかな?
きみは
いまは二〇一二年
ぼくは孤絶
ひとり
書きつけをしている
だれかな?
きみは
こんなにも遅れてきて
ぼくの書きつけを
読んでいる
きみ
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