会いたい人には
ちゃんと会っているさ
暑い夜
熱いウーロン茶を飲んでいる
よみがえる
暑かった
たくさんの夜
南仏のホテルで
〆切の迫った原稿を書き
朝早く
ファクスしたこともあった
樫原神宮前のホテルで
泊まった夏も
ひどく暑かった
橘寺にむかう
稲穂の青波の中の道
夏はいつも
団扇を顔によせて
日かげを作っていたね
黒いシャツばかり
着ていた頃の
夏
あまりに汗が出過ぎて
昼過ぎには
シャツの背も
脇腹も
塩で白くなってしまう
しかたなく
奈良のスーパーで
バーゲンのTシャツを買った
白い綿シャツ
もう20年になるのに
まだ使っている
クーラーを
使わなかったので
毎年
夏の夜は
いつも暑かった
団扇と
扇風機が
にっぽんの夏の
思い出
いま
ぼくの机上にある箱の中の
きみの頭蓋骨の
かけらに
染みているだろうか
それら
思い出は
クーラーを使ったのは
病院を出て
すこし家に帰り
最後の秋の始まりを
ひとりで暮した
50日のあいだだけ
それも
にっぽんの夏の
思い出に
加わっただろうか
暑い夜だ
思い出されることが
いっぱいあって
これから先
なにも
手につかない気がする
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