駿河昌樹 詩抄
気ままな詩選を自分の愉しみのために。制作年代も意図も問わず、まちまちに。
2012年8月11日土曜日
妊娠期
あまり使われない辞書が何冊も
猛暑の昼
溶けもせずに
繁茂もせずに
木枠の中に立っている
濫りに知を
掌中に一望しようと企んだ緑碧の海の
遠い罪状の谺
耳と呼ぶべきほどの耳は聞き
後には余剰の躰
幸いなことには肌と肉を通じて
熱にまだ繋がっていようと
未生のひとつの未知が
うっすら目を開きながら
やわらかな内側から食い破り続けている
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