エターナル加工の薔薇
もう十年以上になるのに
まだ枯れず
机の前に飾ってある
少し潰れてきたようにも見えるが
摘みたてのようで
遜色はない
黒い小箱に入れてある
箱の上には
三十三間堂で買った
千手観音を中に収める
小さなクリスタル
線だけで構成された千手観音が
立体的に中に浮かんでいる
こういうものは
滅多に買わないのだが
人が死んで気が弱っていた頃
カバンにでも付けておこうかと
買ってしまった
気に入っていたが
すぐに小さな繋ぎ輪がダメになって
落ちやすくなってしまった
そういうわけで
しかたなしに薔薇の黒箱の上に
今はあるというわけ
失われそうで
失われないでいるものが
机の上にはよく集まってくる
他にもいろいろあり
さまざまな小さな歴史があるが…
それらについては
またいつか
べつの機会に
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