九月十日
放射能忘れてみたし秋刀魚欲し
大なゐを恐れつつ聞く鉦叩
まだまだと法師蝉鳴く日の盛り
秋の蚊のなにが哀れかまた刺され
秋の空この世の果ては高く澄み
ごたごたのまゝの日本の良夜かな
九月十一日
嘘つぱち風流ぶつて残暑など
流星のむしろ地上にあまたなり
台風の少なき年よ醜き世
二百十日生きてゐたよと言ふばかり
新蕎麦の喉滑る時さとりあり
信じ得る少なきひとつちちろ虫
鈴虫を鳴かせて駅舎去り難し
酔芙蓉詠むには難しまたいつか
糸瓜棚なき界隈の若旦那
ほんたうは茄子の紫紺に惚れてゐる
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