九月十三日
時々は氷菓に惹かれ秋遍路
唐茄と東京人は呼ぶならひ
不知火を知らず闇夜に火を思ふ
水引の花あざやかなまゝの過去
九月十六日
竹槍を遠きこととし竹を切る
残暑見舞ひ送り送られ昭和期は
遠稲妻高低あるといふ民度
初嵐ことしは遅き隅田川
秋の空また椎茸を炙り過ぎ
布団干すたび留まり来る赤蜻蛉
秋口の東アジアの海青し
秋暁の心静かな目醒めかな
秋の昼音立てぬ石の照り曇り
台風に遠き都の朝の市
栗飯を貰ひてまづは栗だけを
菊膾ひつそりと卓に待ちてをり
おろし器を出すも億劫山の芋
鶺鴒のモダン柄にて飛び渡る
椋鳥はいづこにも居りて馴染み来ず
落鮎の寂しきまゝに売られけり
鯊釣は十四五尾ほどでちやうど良し
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