たいせつな死者を持ってみると
一瞬でさえ忘れないとわかった
忘れないから思い出しもしない
忘れないから懐かしみもしない
生きている時以上にいつもいて
自己の観念のようにいつもいる
死体を見たよな、確か、と思う
死んだんだよな、本当に、とも
しかし脳の中にぺったり付いた
この感覚はいったいなんだろう
死なれるということが、これか
すっかりといっしょになること
死なれた人の側の心情はずっと
まちがって表現され続けてきた
ほんとうに経験した人が語らず
語ったのは知ったかぶりばかり
自分と相手の違いさえもう無く
生き死にの違いさえ感じづらく
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