東京にひさしぶりに雪が降って
うちから見えるながめ
外の近いところのながめに
やわらかく
はろばろ目を放ち
写真を撮ってもみたり
子どもらの遊ぶすがたを
追ってみたり
羽のように
大きなかけらとなったり
吹きつけたり
ひさしぶりの雪は
楽しかった
そうしながら
し続けてきている
詩のようなかたちの
書きつけを
思うともなく
思っていた
だれにも届いていない
それらは
わたし自身には
雪のように冷たく
さびしいだけの手ざわり
それでも書きつけているのは
だれにも届かないでいいと
心のそこまで覚悟させられた
数十年の来しかたがあったから
風向きが急にかわり
雪片が吹きつけてくる
それを受けながら
遠いとおい
わたしにだけは
届かせるように書きつけようかと
たぶん
数十年ぶりに
思った
いつのまにか
わたしに向かってさえ
書くことを
捨ててしまっていた…
さびしいことばの使い方を
もう
やめてもいい頃か
わたしにそれを強いた人びとも
ようやく
消えていったから
わびしい師たちよ
さもしい友たちよ
わたしの心から
あなたがたが消えていったことを
わたしはほんとうに
ほんとうに
うれしく
よろこばしく
思っている
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